お金の悩み

生活福祉資金貸付制度利用のススメ。審査に落ちた人の原因とは

生活福祉貸付がすごい!利用方法を解説

銀行や消費者金融から借りられないほど収入が少ない人に対しては、国が生活福祉資金貸付というセーフティネットのような制度を用意しています。
ここでは生活福祉資金貸付で借りられる資金の種類や、利用するための手順などをわかりやすく解説しています。

銀行や消費者金融のローンはとても便利ですが、慈善事業ではないので返済が困難になりそうな人には融資をしてくれません

消費者金融の審査通過率が50%程度ですので、たくさん宣伝をしているのに、かなりの人が融資を断られています。

でも民間の金融機関から借りられないからといって、すぐに諦める必要はありません。

銀行や消費者金融から借りられない人のために、国は生活福祉資金貸付といったセーフティネットを用意しています

ここではそんな生活福祉資金貸付を利用して、お金を借りる方法をご紹介していきます。

お金を借りるのが難しいなら「生活福祉資金貸付」

生活福祉貸付:審査に時間はかかるけど無利子や低金利が魅力的

銀行や消費者金融でお金を借りるのが難しい低所得者に対して、国は生活福祉資金貸付という制度を用意しています。

リストラなどで収入が減り、生活を安定させるためにお金が必要な人が貸付対象で、生活を立て直したあとに、安定した収入を得られる可能性が高いと判断された人だけが利用できます

申込みをする前に所定の機関で相談をする必要があり、審査に1ヶ月かかるという使い勝手の悪さはありますが、無利子もしくは低金利で融資を受けることができます

生活福祉資金貸付とは

生活福祉貸付は生活の安定化を目指す制度
生活福祉資金貸付って言葉、初めて聞きました!
この制度は、生活に困って闇金に走ってしまう人達を支援するために作られたんです。
ただし、誰でも利用できるという訳ではないんですよ。

生活福祉資金貸付を低金利でお金を借りられる制度だと思っている人がいるようですが、まずはその部分の誤解から解いていきましょう

生活福祉資金貸付は経済的に困っている人を金銭的に支援することで、生活の安定化を目指す制度です。

銀行や消費者金融のカードローンは、欲しいものを購入するための資金として借りることができますが、生活福祉資金貸付は自立した生活を取り戻すという目的のためだけに利用できます。

例えば派遣社員として働いていて、病気によって一時的に仕事に就けなくなったとします。

派遣社員は時給制ですので、仕事に復帰するまでの期間は収入がストップします。

収入が止まりますので民間の金融機関は1円も融資してくれません

そういうときに闇金業者などのおかしなところから借りてしまわないように、国がセーフティネットとして、生活福祉資金貸付という制度を用意しています。

このため、誰でも簡単に利用できるというわけではなく貸付対象は明確になっています。

どんな人が生活福祉資金貸付の貸付対象になるのかを、次章で詳しく説明します。

生活福祉資金貸付の貸付対象

貸付の対象に当てはまれば、生活福祉貸付を受けれる

生活福祉資金貸付が利用できる世帯一覧

生活福祉資金貸付を利用できるのは、この3つのいずれかの世帯に所属している人に限られます

これだけではわかりづらいかもしれませんので、それぞれの世帯についてもう少し詳しく解説していきます。

低所得者世帯

市町村民税が非課税になる程度の収入しかない世帯が、低所得者世帯になります。

家族構成によって変わりますが、独身の会社員であれば年収100万円以下4人家族(扶養3人)で256万円未満がその目安になります。

そのような世帯であっても、民間の金融機関や親族などから支援を受けられる場合には、生活福祉資金貸付を利用することができません。

どこからも借りられなかった人で、なおかつお金を借りることで生活の立て直しが期待できる世帯が低所得世帯として融資を受けられます。

障害者世帯

世帯に障害者がいるという場合にも、障害者世帯として融資を受けることができます。

身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けていることが、障害者の基準になります。

高齢者世帯

65歳以上の高齢者が属する世帯も、生活福祉資金貸付を利用できます。

ただし、65歳でも健康で日常生活を送るうえで支障のない場合には対象とならず、療養や介護が必要な65歳以上の高齢者がいる場合に限って、生活福祉資金貸付で融資を受けることができます。

生活福祉資金貸付の種類

使用用途に合わせて、4つの資金が用意される

生活福祉資金貸付はカードローンのように自由に使える資金を提供するのではなく、使用用途に合わせて、下記のように4つの資金を用意しています。

それぞれの資金について、詳しく見ていきましょう。

参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」

総合支援資金

生活支援費 【単身】月額15万円【複数世帯】月額20万円まで
住宅入居費 40万円以内
一時生活再建費 60万円以内
  • 対象:低所得世帯
  • 連帯保証人:原則1人必要
  • 金利:無利子(連帯保証人なし:年1.5%)

総合支援資金は、失業などで生活を維持できなくなった世帯を支援するための資金です。

対象となるのは低所得世帯で、下記の費用を借りることができます。

生活支援費は離職や失業によって減った収入を補うための資金で、例えば月収20万円だった場合で5万円の減収があった場合には、5万円まで借りることができます。

ただし、上記のように上限が定められていますので、単身は15万円までで、家族がいる場合にも20万円までしか借りることができません。

住宅入居費一時生活再建費は、就職のために一時的にまとまったお金が必要なときに利用できる資金です。

住宅入居費は新しく賃貸契約を結ぶときの敷金や礼金、一時生活再建は技術習得費用や引越資金、公共料金の建て替えなどに使えます。

福祉資金

福祉費 580万円以内
緊急小口資金 10万円以内
  • 対象:低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯
  • 連帯保証人:原則1人必要(緊急小口資金は不要)
  • 金利:無利子(福祉費で連帯保証人なし:年1.5%) 

福祉資金は様々な用途に使える資金で、例えば自営業者が仕事を継続するために必要な経費や、バリアフリーのために住宅をリフォームする経費、冠婚葬祭に必要な経費などに利用できます。

福祉資金の種類は福祉費と緊急小口資金の2種類があり、日常生活を送るためや自立した生活を目指すために、まとまったお金が必要なときに利用するのが福祉費です。

生活福祉資金貸付の資金は、いずれも融資までに時間がかかってしまい、病気やケガの治療費、火災にあったときなど、すぐにでもお金が必要なときには適していません

そのようなケースで支援を受けられるのが緊急小口資金です。

教育支援資金

教育支援費 【高校】月3.5万円以内【高専・短大】月6万円以内【大学】月6.5万円以内
就学支度費 50万円以内
  • 対象:低所得世帯
  • 連帯保証人:不要
  • 金利:無利子 

低所得世帯に属する子どもたちが、高校や大学などに進学するために必要な資金を融資するのが教育支援資金です。

教育支援資金は教育支援費と就学支度費の2種類があります。

就学中に必要になる学費(授業料、設備費、PTA会費、通学定期代など)に利用できるのが教育支援費で、在学期間中に月額で融資を受けられます。

就学支度費は、在学する前に必要となる入学金や制服費、教科書代などのまとまったお金を借りるときに利用できます。

不動産担保型生活資金

貸付月額 30万円以内
貸付限度額 土地評価額の70%
  • 対象:低所得世帯かつ高齢者世帯
  • 連帯保証人:不要
  • 金利:年3%、または長期プライムレートのいずれか低い方 

不動産担保型生活資金はリバースモーゲージとも呼ばれ、自分が暮らしている家を担保にすることで、お金を借りることができる借入方法です。

申込者が亡くなったときに、担保にした家を売却して借りたお金の返済に充てます。

  • 利用できるのは低所得の高齢者世帯のみ
  • 利用者に配偶者と親以外の同居人がいないこと
  • 土地評価額が1500万円以上(貸付条件によっては1000万円)
  • マンションは対象外

このように厳しい条件がありますが、月々の返済が発生しないなどのメリットもあり、年金が少なくて生活が苦しいという人の生活を支えてくれる資金になります。

生活福祉資金貸付でお金を借りる手順

利用したい資金によって、相談先がなったく異なる

生活福祉資金貸付でお金を借りる流れは以下の通りです。

生活福祉資金貸付制度を利用するためには、各種手続きや書類の提出が必要になります。

事前に準備しておかないと本当に必要な時に入金が間に合わなくなることも考えられますので、ここで手順をしっかり確認しておきましょう。

専門機関で相談する

生活福祉資金貸付制度を申し込むには、まず住んでいる市町村区の社会福祉協議会もしくは自立相談支援機関に相談する必要があります。

社会福祉資金貸付制度には、資金の用途によりさまざまな種類があり、相談機関が異なります。

資金ごとの相談機関は以下のとおりです。

  • 福祉資金
  • 教育支援資金
  • 不動産担保型生活資金
市区町村社会福祉協議会
総合支援資金・緊急小口資金 自立相談支援機関

総合支援資金・緊急小口資金の借り入れについては、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が貸付の要件となっています。

そのため、一旦自立相談支援機関に相談し、制度の利用が必要と判断されてからの申し込みとなる点に注意しましょう。

借入の申し込み

相談の結果、制度の利用が可能であれば借入の申し込みを行います。

資金ごとに申し込み窓口が異なりますので注意してください。

申込時には世帯での収入・負債の状況などについて、聞き取りが行われますので、応えられるようにしておきましょう。

また、貸付の用途を証明する書類も必要となるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

貸付用途を証明する書類の例

  • 福祉資金:各種介護サービスの利用票や、職業訓練校の合格通知書など
  • 教育支援資金:対象となる学校の在学証明書や募集要項など
  • 不動産担保型生活資金:不動産の登記簿謄本や住宅地図など

申請書の提出

生活福祉資金貸付制度の申し込み時には、各制度に応じた申請書を提出します。

申込時には以下のような書類をあわせて提出する必要があります。

  • 本人確認書類:運転免許証・健康保険証・パスポートなど
  • 住民票
  • 世帯と連帯保証人の収入状況がわかる書類:源泉徴収票・給与明細書・確定申告書など
  • 申請理由や対象経費がわかる書類:給与明細書・離職票・見積書など
  • 実印

申請書や必要書類については、各市町村区の申込窓口にて教えてもらいますので、指示に従いましょう。

審査

申込後は、都道府県の社会福祉協議会によって審査が行われ、審査には約1か月程度かかります。

審査では、世帯の収入・支出の状況や生活再建プランなどが確認され、貸付の可否や貸付金額が決定され、「貸付決定通知書」「不承認通知書」が送付されます。

不承認となった場合でも、理由については教えてもらえません。

申請書に不備があったり、事実と異なる内容が記載されていると判断された場合、不承認となる可能性もあるため、申請書は正しく記入するようにしましょう。

借用書提出

貸付決定通知書が届いたら、必要書類を住んでいる市区町村の社会福祉協議会に行き、職員と対面で借用書を締結します。

借用書の締結時に必要な書類は以下の通りです。

  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証など)
  • 印鑑登録証明書
  • 実印
  • 貸付金振込口座の通帳と届出印

連帯保証人・連帯借受人がいる場合は、全員の署名捺印が必要となるため、動向して貰う必要があります。

貸付金の交付

借用書や提出書類に不備がなければ貸付金が届け出の口座に交付されます。

どの貸付も、据置期間終了後に償還(返済)が始まります。

口座引き落としにて行われるため、残高不足などで延滞しないようにしましょう。

生活福祉資金貸付制度の審査に落ちる原因6つ

生活福祉資金貸付制度は、国の税金を財源とする生活再建を目的にしたものであり、その条件は厳格なものとなっています。

審査に落ちた理由が開示されることはありませんが、以下のような理由で審査に落ちることが多いと言われています。

  1. 申請内容にウソがある
  2. アドバイスを受け入れない
  3. 返済能力が低い
  4. 他からの借入を延滞している
  5. 収入が期待できない
  6. 多額の借金がある

生活福祉資金貸付制度は、一時的に生活に困窮している人の生活再建を手助けすることを目的としたものです。

そのため、生活再建の見込みが無いとみられる場合には審査に通らないと言えるでしょう。

また、財源が税金であることから、返済が見込めない場合にも審査に通りにくくなる可能性があります。

申請内容にウソがある

審査に通らない原因として、よくありがちなのが「申請内容に虚偽・不正がある」パターン。

生活福祉資金貸付制度は「生計維持が困難な低所得者世帯であること」や「生活再建が見込めること」「就業のために努力していること」などの要件があります。

これらの要件を満たすために、実際の年収より低い金額を記載したり、働いていることを隠したりして申請することはやめましょう。

万が一、審査に通ったとしても後で必ずバレて一括返済を求められます。

アドバイスを受け入れない

民生委員や社会福祉協議会に対して協力的でない場合にも、審査に通るのは難しいでしょう。

生活福祉資金貸付制度は、生活再建を目指す人を一時的に支援するための制度です。

相談の面談を拒否したり、アドバイスを聞かない場合には生活を再建する意思がないと判断され、審査には通りにくくなってしまいます。

返済能力が低い

働く意志がなく、返済能力が著しく低い場合も貸付が認められません。

生活福祉資金貸付制度は、一時的に収入が減少し生活に困窮する人を支援する制度です。

つまり、働いて収入を得る意思はあるものの、止むを得ない理由により一時的に働けない人が交付の対象となります。

たとえば、働く意思が薄く恒常的に収入が低い場合は、働く意志がないものとして貸付の対象外となります。

他からの借入を延滞している

既存の借入返済を延滞している場合も審査には通らないでしょう。

生活福祉資金貸付制度は、貸付によって生活困窮者を支援する制度であり、返済が前提となっています。

既存の借入が多い場合や、その返済を延滞している場合には、生活福祉資金貸付制度の返済能力がないものとして、不承認となってしまうのです。

収入が期待できない

ちゃんと返せることを示さないと借りれない

生活福祉資金貸付は、お金をもらえるのではなく「貸付」です。

このため、将来的に返済できそうもないという人は利用できません。

申込みをする時点では無職でも構いませんが、融資を受けるにはハローワークに通うなどして、働く意思を行動で示す必要があります。

多額の借金がある

キャンブル癖や浪費癖があると、貸してもらえない

すでに多額の借金を抱えている人も生活福祉資金貸付を利用できません。

生活福祉資金貸付での借入れそのものが借金であり、すでに借金をしている人が借りるということは、多重債務の状態になってしまい、家計が破綻する可能性が高いためです。

支出が多すぎて赤字になっているケースも、返済困難になることが容易に想定できるため、まずは生活の見直しが求められます。

このため、ギャンブルや浪費で生活苦になっている人は、生活福祉資金貸付は利用できないと考えてください。

生活福祉資金貸付を利用する上での注意点

低金利で借りることができる生活福祉資金貸付ですが、利用するにあたっては下記の注意点があります。

どのような注意が必要なのか、詳しく解説していきます。

審査に約1ヶ月かかる

余裕を持って相談しないと、融資が間に合わなくなる

生活福祉資金貸付は審査に1ヶ月程度かかりますので、「今すぐお金が必要」というようなケースでは利用できません。

このため、失業することが分かっている場合などには、退職してから相談するのではなく、失業する前から相談するなど、行動をできるだけ前倒ししましょう。

ただし緊急小口資金の場合は、審査にそれほど時間はかかりません。

とはいえ即日融資を受けられるということはなく、1週間程度はかかりますので、急ぎでお金が必要な場合には、他の方法で資金調達を行ってください。

返済を延滞すると利子がつく

据置期間終了後の返済を延滞した場合は、利子がつく点にも注意が必要です。

生活福祉資金貸付制度は原則的に無利子で利用できる貸付制度です。(連帯保証人を付けられない場合は有利子。)

当然、据置期間の終了後には、返済が開始されます。

この返済が滞った場合、各都道府県にて定められている延滞利子が残高に対してかかります。

延滞利子は各自治体でばらつきがあり、たとえば大阪府では年3%、東京都では5%です。

せっかく無利子で借入したのに、延滞して利子を払うことになっては本末転倒ですので、延滞しないよう、注意するようにしましょう。

生活福祉資金貸付の返済は免除になる?

生活福祉資金貸付制度では、一定の要件を満たしたときに限り返済を免除してもらうことも可能です。

生活福祉資金貸付制度には、貸付金の返済免除の取扱について、以下のように定めています。

  • 借受人が死亡した場合であって,相続人及び連帯保証人から当該償還未済額を償還させることが困難であると認められるとき。ただし,連帯借受人がいる場合はこの限りでない。(中略)
  • 借受人が償還期限到来後2年以上所在不明となつている場合であって,相続人及び連帯保証人から当該償還未済額を償還させることが困難であると認められるとき。ただし,連帯借受人がいる場合はこの限りでない。(中略)
  • 償還期限到来後2年経過してもなお借受人,連帯借受人及び連帯保証人から当該償還未済額を償還させることが著しく困難であると認められるとき。
  • 当該償還未済額について時効が完成しているとき。

(引用: 生活福祉資金の貸付金償還免除の取扱いについて

つまり、借受人が死亡・所在不明、貸付金の償還が極めて困難であると認められる場合には返済が免除されることがあるということです。

ただ、上記は借受人およびその世帯が生活再建・独立自活に対して真摯に努力している場合に限ります。

返済の免除については、市町村区の社会福祉協議会を通じ都道府県社会福祉協議会に届け出ます。

その後、償還能力などに関する調査を経て都道府県社会福祉協会長によって決定されます。

まとめ:生活福祉資金貸付は便利だが注意点も

生活を整えるためなので、条件に当てはまるなら、積極的に利用したい

生活福祉資金貸付を低金利でお金を借りられる制度だと思っている人も多いようですが、実際にはリストラなどで生活が苦しくなっている人が、生活を立て直すための支援をする制度です。

このため、借りたお金の使用用途が限られています

また貸付ですので、借りたお金は必ず返さなくてはいけません。

このため、将来的に返済できるだけの収入が確保できそうにない場合には、審査で融資を断られることもあります。

それでも利用できた場合には、無利子もしくは低金利で融資を受けることができますので、低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯であるなら、積極的に利用したい制度です。

<景品表示法に基づく表記>
本サイトのコンテンツには、商品プロモーションが含まれている場合があります。